冬の朝、窓ガラスが水滴でびっしり濡れている。見覚えのある光景ではないでしょうか。
結露は「拭けば済む冬の困りごと」に見えます。けれど同じことは壁の中でも起こりえて、そちらは住んでいる人にはなかなか気づけません。
ここでは結露の理屈を押さえ、窓の表面と壁の内部で起きるものを分けて整理します。
結露は「冷えた面」で起きる——露点というものさし
空気が含められる水蒸気の量には上限があります。これを飽和水蒸気量といい、温度が高いほど大きく、低いほど小さくなります。
| 空気の温度 | 1m³が含める水蒸気の上限(およその値) |
|---|---|
| 0℃ | 約4.8g |
| 10℃ | 約9.4g |
| 20℃ | 約17.3g |
20℃で17gほど抱えられる空気も、10℃まで冷えると上限は9gほど。抱えきれない分が液体の水に戻る——これが結露です。
いま抱えている量から逆算して「何℃まで冷やすと水に戻りはじめるか」を示すのが露点温度です。室温20℃なら、湿度でこう変わります。
| 室内の湿度 | 露点温度(室温20℃のときの計算値) |
|---|---|
| 40% | 約6℃ |
| 50% | 約9℃ |
| 60% | 約12℃ |
| 70% | 約14℃ |
読み方は単純です。室内のどこかに露点より冷たい面があれば、そこが濡れる。
窓まわりで起きる表面結露
家の中でいちばん冷えやすい面は、たいてい窓です。目に見える場所で起きる結露を表面結露といいます。
窓の表面温度は、窓の性能で決まる
窓の熱の通しやすさはU値(熱貫流率、単位W/(m²・K))で表し、小さいほど熱を通しにくい窓です。外気0℃・室温20℃の冬の条件で、ガラス中央の室内側の表面温度を概算します(室内側の表面熱伝達抵抗を0.11m²・K/Wとした計算上の目安で、条件の取り方によって数℃前後します)。
- アルミサッシ+単板ガラス(窓全体のU値6.5前後)——ガラス中央の室内側表面はおよそ6℃
- 樹脂サッシ+Low-E複層ガラス(同2.0前後)——同じくおよそ16℃
ここに露点を重ねます。室温20℃・湿度50%なら露点は約9℃。前者は表面が露点を下回って濡れますが、後者は濡れにくい。同じ空気でも、窓しだいで結果が変わります。
後者でも、湿度が70%まで上がれば露点は約14℃。表面温度16℃との差はごくわずかです。しかも、いちばん先に濡れるのはガラスの中央ではなく、サッシの枠やガラスの下端など、より冷えやすい部分です。窓を替えれば結露と縁が切れる、という話ではありません。
打ち手は「冷やさない」と「増やしすぎない」
- 冷えた面をつくらない——窓の断熱性能を上げるのが基本です。厚手のカーテンを閉め切ると、ガラスが室内の空気から遮られてより冷え、結露が増えることもあります
- 水蒸気を増やしすぎない——調理、入浴、室内干し、開放型の暖房器具(石油やガスを室内で燃やし、排気を屋外へ出さないタイプ)が主な発生源です。燃焼で生まれる水蒸気は多いため、換気とセットで考えます
2003年の建築基準法改正で、住宅の居室には換気回数0.5回/h以上(1時間に空気の半分以上を入れ替える)の機械換気設備が義務づけられました。給気口をふさぐと、この前提が崩れます。
壁の中で起きる内部結露と、防湿層・通気層の役目
やっかいなのはこちらです。壁や天井の内部で起きる結露を内部結露(壁内結露)といいます。
冬、室内の暖かく湿った空気は、壁のわずかな隙間やコンセント・配管まわりの穴から壁の中へ入り込みます。壁の中は外側へいくほど冷たく、どこかで露点を下回る位置があり、そこで水に戻ります。断熱材が湿れば性能は落ち、木材が濡れた状態が続けば腐朽菌やカビの育つ条件が整います。しかも壁を開けない限り、住んでいる人には気づきにくいものです。
そのため壁は、いくつかの層で組み立てます。
- 防湿層——断熱材の室内側に張る、水蒸気を通しにくいシート。壁の中へ湿気を入りにくくする役目です
- 気密層——隙間からの空気の出入りを止める層。水蒸気は空気に運ばれて動くため、気密が低いと防湿層があっても脇から回り込まれます。防湿層が気密層を兼ねる納まりも一般的です
- 通気層——外壁材のすぐ内側に設ける空気の通り道。入った湿気を、下から上へ抜ける空気で外へ逃がす役目です
入りにくくする、止める、逃がす。この3つがそろって、壁の中は乾いた状態を保ちやすくなります。新築住宅に義務づけられている住宅瑕疵担保責任保険では、多くの保険法人の設計施工基準で、外壁を通気層のある構法(通気構法)とすることが原則とされています。
C値の記事でも触れましたが、気密の良し悪しは図面からは読めず、完成後に測ってはじめて数字になります。配管まわりの処理や気密シートの重ね方といった現場の手仕事が、そのまま結果を左右します。内部結露の話は、気密の話と地続きです。
内部結露は冬だけではありません。夏に高温多湿の外気が壁の中へ入り、冷房で冷えた室内側で結露することもあります(夏型結露)。
まとめ——見えない場所ほど、先に手を打っておく
結露のしくみは、突き詰めると一行です。空気が抱えられる水蒸気の量には温度ごとの上限があり、露点より冷たい面に触れると水に戻る。窓で起きれば表面結露、壁の中で起きれば内部結露。理屈は同じものです。
窓の結露は拭けば対処できます。けれど壁の中は、住みはじめてから手を入れにくい場所です。だからこそ、打ち合わせの段階で聞いておく値打ちがあります。
- 窓は何が標準ですか。サッシの素材とガラスの構成、U値の目安は
- 断熱材の室内側に防湿層は入りますか。どこまで連続させますか
- 外壁は通気構法ですか。通気層の厚みと空気の入口・出口はどこですか
- 気密測定は1棟ごとに行いますか。実測のC値は見せてもらえますか
- コンセントや配管が壁を貫通する部分は、どう処理していますか
答えの細かさより、その会社が何を考えて壁を組み立てているかが伝わります。