契約が済んで、間取りも仕様も決まった。あとは建つのを待つだけ——。着工から引き渡しまでの数か月は、打ち合わせが続いた時期にくらべると、急に静かな期間になります。
けれど現場では毎日なにかが進んでいて、その日を過ぎると見られなくなるものがいくつもあります。壁の中に入る断熱材や配管は、その代表です。
ここでは着工から引き渡しまでの流れを、期間の目安と「その時期にしか見られないもの」で整理します。
着工から引き渡しまで、おおまかな流れと期間の目安
木造の在来工法で延べ床30坪前後の戸建てを建てる場合、着工から引き渡しまでの工事期間はおおむね4〜6か月です。建物の大きさ、工法、天候、地域によって前後します。部材の多くを工場でつくるオフサイト建築では、従来なら4〜5か月かかる規模でも3か月前後に収まることがあります。
| 工程 | 期間の目安 | 現場で起きていること |
|---|---|---|
| 地鎮祭・地縄張り | 着工前に1日 | 土地を清め、建物の位置を縄で地面に示す |
| 基礎工事 | 約1か月 | 掘削、配筋、コンクリートを打って固める |
| 上棟(建方) | 1〜2日 | 柱と梁を組み、いちばん高い棟木まで載せる |
| 屋根・外部工事 | 約1か月 | 屋根を葺き、サッシを入れ、外壁を張る |
| 断熱・配管・配線 | 約1か月 | 断熱材を充填し、給排水と電気を通す |
| 内装仕上げ | 約1〜2か月 | 石膏ボード、クロス、床、設備の取り付け |
| 完了検査・施主検査 | 数日〜2週間 | 行政または検査機関の検査と、施主の確認 |
| 引き渡し | 1日 | 鍵と書類を受け取る |
最初の節目が地縄張りです。建物の外周が縄で地面に描かれ、初めて実寸を目にします。「思っていたより狭い」という感想はよく聞きますが、仕切りも高さもない平面を見ているからです。位置と向きが図面どおりかを確かめる日、と考えておきましょう。
次が上棟です。基礎の上に柱と梁が組まれ、1日か2日で家の輪郭が立ち上がります。屋根も外壁もまだ張られていない骨組みを見られるのは、この数日だけです。
壁がふさがると、見えなくなるもの
外まわりができてから内装が始まるまでのあいだに、断熱材が入り、給排水管と電気の配線が通ります。石膏ボードが張られると、ここまでの工事は壁と天井の裏に収まります。この時期にだけ見えるのは、たとえばこういったものです。
- 断熱材の入り方——柱と柱のあいだにすき間なく詰まっているか、コンセントまわりや筋かいの脇が痩せていないか
- 防湿・気密の処理——防湿シートの継ぎ目の始末や、配線まわりに貼る気密テープの納まり
- 構造金物——柱と土台をつなぐ金物が、図面どおりの位置に付いているか
良し悪しの判断は難しくても、壁を一面ずつ撮っておけば、棚や手すりを付けるときに配管と配線の位置の手がかりになります。
気密性能を数値で示している場合、C値の測定はこの前後に行われることがあります。壁がふさがる前なら手直しができ、完成後なら引き渡し時の状態が分かる、という違いです。いつ測るのか、結果を書面でもらえるかを聞いておきます。
「検査」にも種類がある——完了検査と施主検査の違い
引き渡し前の検査は複数あり、名前は似ていても見ているものが違います。
完了検査——法令に適合しているかの確認
工事が完了したら、完了から4日以内に届くように完了検査を申し込むことが定められています(建築基準法第7条、指定確認検査機関に依頼する場合は第7条の2)。手続きは住宅会社が代行するのが一般的で、建築主事または指定確認検査機関の検査を受けます。適合が確認されると検査済証が交付されます。
見られるのは、建築確認を受けた図面のとおりに建ち、法令に適合しているか、という点です。クロスの継ぎ目や建具の調整といった仕上がりの出来は、この検査の対象ではありません。「検査に通った=仕上がりに問題がない」ではない、と覚えておきます。
検査済証は、将来その家を売るときや増改築するときに求められることがあり、引き渡しで受け取って保管する書類のひとつです。なお工事途中の中間検査は、特定行政庁が指定した工程について行われ、地域や建物で対象が変わります。
施主検査——仕上がりを自分の目で見る場
施主検査は法律の制度ではなく、契約にもとづくものです。竣工検査、内覧会とも呼ばれ、引き渡しの1〜2週間前に行われることが多く、出た指摘を引き渡しまでに直してもらう位置づけです。見ておきたいのは、こういったところです。
- 壁・床・建具の傷や汚れ、クロスの浮き
- ドアと窓、収納扉の開け閉め。引っかかりや戻りがないか
- コンセントとスイッチの位置と数が、図面どおりか
- 水を出して、流れと排水を確かめる。給湯や換気も動かしてみる
コンセントと照明の配置図を持っていくと照合しやすくなります。気になった点は口頭ではなく書面で残し、いつまでにどう直すのかをその場で決めておきます。
まとめ——行く日を、先に決めておく
共働きだと、工事期間中に何度も現場へ通うのは難しいものです。全部に立ち会おうとせず、行く日を先に決めるほうが現実的です。地縄張りは日程が前もって決まるので組みやすく、別枠と考えて、残る3つに優先順位をつけるなら、上棟の前後、断熱と配線が終わってボードが張られる前、施主検査になります。
このうち2つめは日程が読みにくく、気づいたときには壁がふさがっていることがあります。着工のときに「ボードを張る前に一度見たいので、日が決まったら教えてください」と伝えておくだけで、見られるものが変わります。行けない週は、担当者に写真を送ってもらう形でも記録は残せます。