「いま借りられる額」と「ずっと返していける額」は違います。その差を生むいちばん大きな要素が、子どもの教育費です。
住宅ローンの返済は毎月ほぼ一定ですが、教育費は年齢とともに増えていきます。しかも、いちばん重くなる時期はだいたい決まっています。先に知っておけば、備え方も変わってきます。
教育費は「後半」に集中する
子ども1人にかかる教育費は、進路によって大きく変わります。ただ、どの進路でも共通しているのが高校から大学にかけて一気に増えるという点です。
- 小学校・中学校——公立中心なら学校教育費そのものの負担は比較的軽め。ただし学習塾や習い事の費用は、学年が上がるほど増えていきます
- 高校——授業料の支援制度はありますが、塾や受験にかかる費用がここで大きくなります
- 大学——入学時にまとまった費用がかかり、そこから4年間の授業料が続きます。自宅外通学なら仕送りも加わります
金額は進路や地域によって幅がありますが、家計の実感として重いのは、間違いなく大学期です。
ピークは「下の子の大学」と重なる
子どもが2人いる家庭では、上の子と下の子の在学期間が重なる数年間がいちばん厳しくなります。たとえば30歳で家を建て、そのとき子どもが3歳と0歳だったとします。下の子が大学に入るのはおよそ18年後——親は48歳、35年ローンなら残りは17年です。
つまり教育費のピークと、ローン返済の半分ほどが残っている時期が重なる。ここが家計のいちばん狭いところになります。
ピークを越えるための、3つの備え
1. 借入額は「ピーク時の家計」で決める
いちばん効くのは、そもそもの借入額です。金融機関が示す「借りられる額」は、いまの年収から機械的に計算されたもので、将来の教育費は考慮されていません。
目安として、毎月の返済額が手取り収入の25%を超えると、教育費が重なる時期に苦しくなりやすいと言われます。事前審査の上限いっぱいまで借りない——これがいちばん確実な備えです。
2. 児童手当は、そのまま貯める
2024年10月の拡充後の水準(3歳未満は月15,000円、3歳から高校生年代までは月10,000円)で単純計算すると、第1子・第2子の場合、子ども1人あたりの支給総額は230万円ほどになります。
これを生活費に混ぜず、そのまま別口座に積み立てておくだけで、大学入学時のまとまった費用にかなり近づきます。手をつけない仕組みをつくっておくことが大切です。
3. 固定費を下げておく
教育費が増える時期に、あとから削れる支出はそれほど多くありません。だからこそ、家を建てるタイミングで固定費を下げておく意味があります。
光熱費はその代表です。断熱・気密性能が高く太陽光発電を備えた住まいは、毎月の電気代を抑えやすくなります。保険料も同様で、団信でカバーされる分を踏まえて生命保険を見直すと、月々の支出が下がることがあります。
一度、表にして眺めてみる
おすすめしたいのは、簡単な年表をつくることです。縦に西暦、横に「家族の年齢」「ローン残高」「教育費の見込み」を並べるだけで十分です。
数字が正確である必要はありません。大事なのはどの年にお金が重なるのかを目で見ることです。ぼんやりした不安が、具体的な数字と時期に変わります。そこまで見えれば、借入額を100万円減らす、着工を半年ずらす、貯蓄のペースを上げる——打てる手が見えてきます。
まとめ——重なる時期を、先に知っておく
教育費と住宅ローンは、どちらも避けられない支出です。両立できるかどうかを決めるのは、金額の大きさより「重なる時期に備えがあるか」です。
教育費のピークは高校から大学。子どもが2人なら、その数年間がいちばん狭くなります。借入額を上限いっぱいにしない、児童手当を貯める、固定費を下げておく。この3つを家づくりの段階から意識しておけば、いちばん厳しい時期の景色はずいぶん変わります。