間取りが決まって、ほっと一息ついたころ。打ち合わせの案内に「電気設備の打ち合わせ」と書かれていて、何を持っていけばいいのか分からない——そんな段階の方に向けた話です。
コンセントとスイッチは住んでから毎日触るものですが、決める時間は間取りや外観にくらべるとずっと短くなりがちです。しかも壁がふさがると、あとから足すのは簡単ではありません。その場で数えるより、準備してから行きたいところです。
電気の打ち合わせは、いつ来るのか
家づくりは「契約」→「間取りの確定」→「仕様決め」→「着工」と進みます。電気設備は仕様決めのなかに入り、キッチンや浴室の設備、内装と並行して決めます。
その場に出てくるのは、間取り図をもとにした電気設備図(配線図)と、照明器具の配置図です。決めるのは、コンセントとスイッチと照明の「位置」「数」「高さ」です。
気をつけたいのは締切です。間取りが固まってから着工までには、申請や審査などの準備に2か月ほどかかるのが一般的で、図面としては着工前に固めるのが通例です。ただし実際に変えられる最後の時期は会社によって違い、壁の下地をふさぐ前まで相談できることもあります。だからこそ最初の回に「いつまでなら変えられますか」と聞いておく。これが一番効きます。
数を決める前に、置くものを図面に書き込む
「ここは何口にしますか」と聞かれて、その場で思い出そうとすると、たいてい抜けます。先に家具と家電を図面に書き込んで、それから数を数える。使い方で4つに分けると、漏れにくくなります。
- ずっと挿しておくもの——冷蔵庫、テレビと周辺機器、洗濯機、Wi-Fiのルーター
- 使うときだけ挿すもの——電子レンジ、炊飯器、ケトル、アイロン
- 移動しながら使うもの——掃除機、サーキュレーター、加湿器や除湿機
- 充電するもの——スマートフォン、ノートパソコン、電動自転車のバッテリー
延長コードが増えやすいのは、二番目と三番目です。キッチンでは電子レンジと炊飯器とケトルが同じ時間に動き、掃除機は廊下や階段のそばに口があるかで勝手が変わります。
高さは「床から何センチ」で決まる
床からの高さは、図面では「FL+250」(床の面から250mm)のように小さく注記されるだけで、見落としやすい部分です。指定がなければ、その会社の標準の高さで付きます。役割ごとに変えるのが普通で、よく使われる目安はこのあたりです。
| 使う場所 | 高さの目安 | そうする理由 |
|---|---|---|
| 一般の居室 | 床から25cm前後 | 家具や掃除の邪魔になりにくい |
| カウンターや机の上 | 天板から10〜15cm上 | 天板の上で挿したまま使える |
| 掃除機・アイロン用 | 床から40cm前後 | しゃがまずに抜き挿しできる |
| 洗濯機・冷蔵庫のうしろ | 本体で隠れない高さ | 動かさずにプラグを抜ける |
| スイッチ | 床から100〜120cm | 立ったまま手が届く範囲 |
いずれも住宅会社ごとの標準仕様として使われている値で、公的に決まった寸法ではありません(2026年9月時点で一般に案内される範囲です)。置く家具の寸法が決まっているなら、そこから逆算します。「この棚を置くので天板より上に」と伝えれば、その場で図面に書き込まれます。
図面を見れば気づける、よくある取りこぼし
ここから挙げるのは、電気設備図と間取り図を並べれば自分で気づけるものです。平面図の記号は「間取り図が読めると打ち合わせが変わる」の記事でくわしく扱っています。ここでは、その図面に何を書き込むかに絞ります。
- 扉のまわりは、どちら側の壁に付けるかを書き込む——開き戸の弧がふくらむ側と、引戸が壁の中へ引き込まれる側は、スイッチに使えない壁になるのが普通です。使えない壁が先に決まるので、残りのどこへ寄せるかが相談の中身になります。入った姿勢のまま、荷物を持っていない側の手で押せるか。そこまで伝えると決まりやすくなります。
- 階段と廊下は、入口と出口の2か所で切りたい——片側でしか消せないと、暗いほうを歩くことになります。2か所で操作するものは3路スイッチと呼ばれ、図面ではスイッチ(点滅器)の黒い丸に「3」の添字がついた記号で描かれます(配線用図記号で定められた書き方です)。階段の上と下、玄関と廊下、寝室の入口と枕元が候補です。
- 外まわりで使う口があるか——庭の手入れ、高圧洗浄機、屋外の照明。屋外用には防雨型(雨のかかる場所向けのカバー付き)を使い、位置は水栓や駐車場所に関わります。
- エアコンは、室内機と室外機の両方を見る——室内機のそばには専用の回路が必要です。室外機をどこに置き、どの壁に穴を開けるかも同時に決まります。
- 通信の引き込みと、部屋までの配線——光回線をどこから入れ、ルーターをどこに置くか。部屋まで有線でつなぎたいなら、壁の中に空の配管を通す相談は、壁がふさがる前でないと頼みにくくなります。
まとめ——決める日の前に、図面に家具を書き込んでおく
準備することは多くありません。間取り図のコピーに家具と家電の四角を描き、挿すものの名前と高さを書き添える。扉の開く向きと引き込む先を見て、使える壁と、2か所で切りたい場所に印をつける。
これを済ませた図面を持ち込めば、当日は「数を数える時間」ではなく「置き方を相談する時間」になります。打ち合わせの回数が限られる方には、この差が効いてきます。
間取り図を1枚コピーして、冷蔵庫とテレビと洗濯機の四角を描いてみてください。それだけでも、足りない場所が見えてきます。