「土地と建物の金額は分かった。あとはローンを組むだけ」——そう思っていたのに、打ち合わせが進むにつれて、見積もりに載っていなかったお金が次々に出てくる。家づくりでよくある戸惑いです。
建築費以外にかかるお金を、まとめて諸費用と呼びます。金額はケースによって幅がありますが、一般には建築費や土地代の数%から1割程度を見ておくとよいといわれます。何にいくらかかるのかを先に把握しておけば、資金計画はぐっと立てやすくなります。
諸費用には、どんなものがあるか
契約と登記にかかるお金
- 印紙税——工事請負契約書、土地の売買契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書に、それぞれ収入印紙が必要です
- 登録免許税——土地の所有権移転登記、建物の所有権保存登記、そして住宅ローンの抵当権設定登記にかかります
- 司法書士への報酬——登記の手続きを依頼する費用です
住宅ローンにかかるお金
- 融資事務手数料——数万円の定額型と、借入額に一定率を掛ける定率型があります。金融機関を比べるときの差が出やすい項目です
- 保証料——金利に上乗せする方式と、契約時に一括で払う方式があります
- 団体信用生命保険——多くの住宅ローンでは金利に含まれています
- 火災保険・地震保険——ローンを組む条件として火災保険への加入が求められるのが一般的です
建物本体以外の工事と、暮らしの準備
- 地盤改良工事——地盤調査の結果しだいで必要になります。事前には金額が確定しません
- 給排水・ガスの引込み工事——土地の条件によって大きく変わります
- 外構工事——駐車場、フェンス、アプローチ、植栽。後回しにされがちですが、まとまった金額になります
- カーテン・照明・エアコン・家具家電——標準で含まれる範囲は会社によって違うため、見積書のどこに入っているかを確認しましょう
- 引越し費用、仮住まいの費用
引き渡しのあとにくるお金
- 不動産取得税——住宅には軽減措置があり、要件を満たせば税額がゼロになることもあります。納税通知は引き渡しから半年〜1年後に届くことが多く、忘れたころにやってきます
- 翌年からの固定資産税・都市計画税
見落としやすいのが「つなぎ融資」
住宅ローンは、原則として建物が完成して引き渡しを受けるときに、一括で実行されます。ところが実際の家づくりでは、その前に大きな支払いが何度も発生します。
- 土地の決済代金
- 工事請負契約時の契約金・手付金
- 着工時の着工金
- 上棟時の中間金
住宅ローンが下りる前に必要になるこれらの資金を立て替えるのがつなぎ融資です。引き渡し時に実行される住宅ローンで一括返済するのが一般的な流れになります。
つなぎ融資には利息がかかり、これは住宅ローンとは別に負担するお金です。事務手数料や印紙代も別途必要になります。借入期間や金額によって変わりますが、決して小さくない額になることもあるので、早い段階で概算を出してもらいましょう。
なお、金融機関によっては工事の進み具合に応じて融資を分けて実行する「分割実行」に対応した住宅ローンがあり、つなぎ融資を使わずに済むこともあります。土地から購入して家を建てる場合は、この点を金融機関選びの段階で確認しておくと安心です。
注文住宅は、建売住宅やマンションと違って支払いが数回に分かれます。「いつ・いくら払うのか」の支払いスケジュールを、契約前に必ず書面で出してもらうこと。これが資金計画でいちばん効きます。
現金で用意しておきたいもの
諸費用のなかには、ローンに組み込みにくく、手元の現金から支払うことになるものがあります。
- 契約時の手付金
- 印紙代、登記費用の一部
- つなぎ融資の利息
- 引越し、家具家電、カーテンなど、住み始めるための費用
最近は諸費用まで借り入れられる住宅ローンもあります。ただし借入額が増えれば、毎月の返済額も総支払額も増えます。手元の現金をどこまで使うかは、教育費の予定や、万一に備える生活防衛資金とのバランスで決めたいところです。貯金をすべて頭金に回さない——これは多くの場面で守っておきたい原則です。
まとめ——「建築費+諸費用+現金」で考える
家づくりの予算は、建築費だけでは完結しません。契約や登記の費用、ローンにかかる費用、外構やカーテンといった暮らしの準備、そして引き渡し後にやってくる税金。これらを合わせた総額で考えて、はじめて現実的な計画になります。
そして、住宅ローンが下りるのは最後だということ。それまでの支払いをどう乗り切るかを、つなぎ融資も含めて先に決めておく。この2つを最初に押さえておけば、打ち合わせが進んでから慌てることはぐっと減ります。わからない費用が出てきたら、遠慮せずその場で「これは誰に、いつ払うお金ですか」と聞いてみてください。