「家は一生もの」とよく言われます。けれど実際には、転勤や転職、子どもの独立、親との同居、思いがけない住み替え——人生の途中で家を手放す可能性は、誰にとってもゼロではありません。だからこそ、家を建てる前に一度考えておきたいのが「将来この家はいくらで売れるか」、つまりリセールバリュー(再販価値)という視点です。
「まだ建ててもいないのに売るときの話?」と感じるかもしれません。でも、価値が下がりにくい家は、いざ手放すときに損をしにくいだけでなく、住み続けるうえでも安心感のある家だったりします。この記事では、リセールバリューの基本と、これから家を建てる方が意識しておきたいポイントを整理します。
そもそも「リセールバリュー」とは?
リセールバリューとは、購入したものを再び売るときの価値のこと。住宅でいえば、数年後・数十年後に中古市場で売却するときに、どれくらいの価格で売れるかを指します。
日本の住宅は、これまで「建物の価値が下がりやすい」と言われてきました。木造住宅の法定耐用年数は税制上22年とされており、中古市場でも築20〜25年ほどで建物の評価額がほとんどゼロに近づく、という慣行が長く続いてきたためです。結果として、日本の中古一戸建ては「土地の値段+わずかな建物価値」で取引されるケースが多く、建物にかけたお金がそのまま価値として残りにくい構造になっていました。
リセールバリューを左右する3つの要素
では、将来の価値はどこで決まるのでしょうか。大きく分けると、次の3つの要素が影響します。
1. 立地——土地の価値はほぼ立地で決まる
もっとも大きいのが立地です。建物は時間とともに価値が下がっても、土地の価値は立地次第で長く保たれます。駅やバス停までの距離、スーパーや学校・病院といった生活利便施設、災害リスク(ハザードマップ)、将来の再開発の見込み——こうした条件が、土地の資産性を大きく左右します。利便性が高く、安全性の確保された土地は、年月が経っても需要が落ちにくいのが特徴です。
2. 住宅性能——「性能が評価される時代」への変化
これまで評価されにくかった建物性能も、中古市場で見られるようになってきました。象徴的なのが、2024年4月から始まった建築物の省エネ性能表示制度です。新築住宅の販売・賃貸の広告に、断熱性能やエネルギー消費性能を示すラベルの表示が求められるようになり、住まいの「燃費」が買い手にも分かりやすく示されるようになりました。
断熱等級6以上・耐震等級3といった高い性能や、長期優良住宅・住宅性能表示制度の認定を受けていることは、これからの中古取引で「価値の裏づけ」として働きやすくなります。性能の高い家は光熱費も抑えられ、暮らしの快適さにも直結するため、買い手にとっての魅力になりやすいのです。THE BASEが手がけるGX志向型住宅も、こうした高い断熱・耐震・省エネ性能を標準で備えています。
3. メンテナンスと住宅履歴——「家の記録」が信頼になる
同じ築年数でも、手入れされてきた家とそうでない家では、買い手に与える印象がまったく違います。定期点検や外壁・屋根の修繕、設備の交換といった記録(住宅履歴情報)が残っていると、買い手は「大切に使われてきた家だ」と判断しやすくなります。国が進める「安心R住宅」制度なども、こうした中古住宅の品質や履歴を見える化し、安心して取引できるようにする取り組みのひとつです。
これから建てる人が「価値が下がりにくい家」のためにできること
リセールバリューは、建ててから慌てて高めるのは難しいものです。だからこそ、家づくりの段階で次のような視点を持っておくと安心です。
- 立地は妥協しすぎない。予算配分を考えるとき、建物だけでなく「土地の資産性」も含めて検討する。
- 性能を証明できる家にする。断熱等級6以上・耐震等級3、長期優良住宅認定や省エネ性能ラベルなど、第三者に伝わる「性能の裏づけ」を残す。
- 住宅履歴を残す。点検・メンテナンスの記録を保管しておけば、将来売るときの大きな安心材料になる。
- 普遍的で飽きのこない設計にする。奇抜すぎる間取りや内装は好みが分かれるため、誰にとっても使いやすい設計のほうが買い手を選びません。
まとめ——「出口」を考えることは、いい家を選ぶこと
リセールバリューを考えると聞くと、少し打算的に感じるかもしれません。けれど実際には、「将来も価値が下がりにくい家」を選ぶことは、立地・性能・手入れのしやすさといった、暮らしの満足度そのものを高める選択とほとんど同じです。
家は、買って終わりではなく、長く付き合っていくもの。建てる前に「もし手放すとしたら」という出口の視点を一度だけでも持っておくと、土地選びや性能の優先順位がぐっと考えやすくなります。住み続けても安心、手放すときにも損をしにくい——そんなバランスのとれた家づくりを、ぜひ意識してみてください。