マイホームを建てるとき、「親から資金を援助してもらえることになった」というご家庭は少なくありません。とてもありがたい話ですが、ここで気をつけたいのが贈与税です。人からまとまったお金をもらうと、原則として贈与税がかかります。せっかくの援助に思わぬ税金が発生した、ということにならないよう、基本の仕組みを知っておきましょう。

じつは、住宅取得のための資金援助には、税金の負担を大きく軽くしてくれる特例が用意されています。この記事では、贈与税の基礎と、住宅資金の贈与に使える非課税の特例を、2026年時点の考え方としてやさしく整理します。

そもそも贈与税とは?まずは「年110万円」の基礎控除

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。ただし、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった金額の合計が110万円までなら課税されません。これを暦年課税の基礎控除といいます。つまり、毎年110万円の範囲内であれば、贈与税を気にせず援助を受けられるということです。

問題は、住宅資金のようにまとまった金額を一度に受け取る場合です。たとえば親から500万円を一括でもらうと、110万円を超えた部分に贈与税がかかります。そこで役立つのが、次に紹介する住宅資金専用の特例です。

住宅取得資金の贈与には「非課税の特例」がある

父母や祖父母など直系の親族から、住宅の新築・取得のための資金をもらう場合、一定額まで贈与税がかからない特例があります。「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」と呼ばれるもので、金額の目安は住宅の性能によって変わります。

さらに、この特例は先ほどの基礎控除110万円と併用できます。たとえば省エネ住宅であれば、1,000万円+110万円で、合計1,110万円までを非課税で受け取れる計算になります。援助の金額が大きいご家庭ほど、この差は見逃せません。

なお、省エネ住宅として上限を引き上げるには、断熱等性能等級や一次エネルギー消費量などの基準を満たしていることを証明する書類が必要です。どの住宅がどの区分に当たるかは、建てる会社に確認しておくと安心です。

特例を使うときの注意点

非課税の特例は便利ですが、いくつか守るべき条件があります。主なポイントを整理しておきましょう。

1. もらう人・贈る人の要件

資金をもらう人は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること、その年の合計所得が2,000万円以下であることなどが条件です。また、資金を贈る側は父母・祖父母といった直系尊属である必要があります。配偶者の親から直接もらう場合は対象外となる点に注意しましょう。

2. 期限までに使って、住むこと

もらった資金は、贈与を受けた翌年の一定期限までに住宅の取得に充て、その家に実際に住む(または確実に住む見込みである)ことが求められます。「もらったけれど、しばらく使わずに置いておいた」という状態では、特例が受けられない場合があります。資金援助のタイミングは、家の引き渡しや入居のスケジュールと合わせて考えるのが基本です。

3. 税額がゼロでも申告は必要

特例を使って贈与税がかからない場合でも、贈与を受けた翌年に贈与税の申告をしなければなりません。「非課税だから申告不要」ではないので、ここは要注意です。申告を忘れると特例そのものが受けられなくなることもあります。

省エネ性能の高い住宅は、贈与税の非課税枠を大きく使えるだけでなく、日々の光熱費を抑えやすいというメリットもあります。断熱等級6以上・C値1.0以下、太陽光発電を標準で備えるようなGX志向型住宅は、こうした省エネ住宅の要件を満たしやすく、資金援助の面でも暮らしの面でも家計にやさしい選択肢のひとつです。具体的な非課税額や必要書類は制度改正で変わることがあるため、最新の内容は国税庁の情報や税理士に確認しましょう。
家族の支えで叶える新しい住まいを思わせる、あたたかな玄関

まとめ——制度を知って、援助を無駄なく活かす

親や祖父母からの住宅資金の援助は、贈与税の基礎控除(年110万円)に加えて、住宅取得資金の非課税特例(省エネ住宅で最大1,000万円、一般住宅で最大500万円)を組み合わせることで、税負担を抑えながら受け取ることができます。「相続時精算課税制度」という別の選択肢もあり、ご家庭の状況によって有利な方法は変わります。

大切なのは、要件と期限を正しく押さえ、税額がゼロでも申告を忘れないこと。制度は年度によって内容が変わることもあるため、援助を受けると決まったら、早めに最新情報を確認し、必要なら税理士など専門家に相談すると安心です。せっかくの家族の支えを、無駄なく上手に活かしてください。