住宅会社のパンフレットで「長期優良住宅に対応」という言葉を見かけたことはありませんか。名前のとおり、長く良い状態で住み続けられる家を国が認定する制度です。
認定を受けると税金やローンの面で優遇があり、住まいの質を示す裏づけにもなります。一方で、申請の手間や、認定を受けたあとに続く義務もあります。この記事では、基準とメリット、そして注意点をやさしく整理します。
長期優良住宅とは、どんな制度か
長期優良住宅は、2009年に始まった国の認定制度です(長期優良住宅の普及の促進に関する法律にもとづきます)。土台にあるのは「つくっては壊す」から「良いものをつくって、手入れをしながら長く大切に使う」への転換という考え方です。
認定するのは所管行政庁(都道府県や市区町村)で、着工前に申請する必要があります。2022年10月には基準が見直され、省エネ性能の要件が引き上げられました。
認定に必要な、主な基準
一戸建ての新築の場合、おおむね次のような項目を満たすことが求められます。
- 劣化対策——数世代にわたって構造躯体が使えること(劣化対策等級3など)
- 耐震性——耐震等級2以上、または免震建築物であること
- 省エネ性——断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6
- 維持管理・更新の容易性——配管の点検や交換がしやすいつくりであること(維持管理対策等級3)
- 住戸面積——一戸建ては床面積75m²以上で、かつ少なくとも1つの階が40m²以上
- 居住環境——地区計画や景観計画などとの調和が図られていること
- 維持保全計画——建てたあとの点検・補修の計画が定められていること
- 災害配慮——自然災害のリスクに応じた措置が講じられていること
並べてみると、どれもふだん目に見えない部分の質を問う項目だと分かります。なお基準は改正されることがあるため、最新の内容は所管行政庁や国土交通省の案内で確認してください。
認定を受けると、何が得か
税金の優遇
- 住宅ローン控除——控除の対象となる借入限度額が、一般の住宅より高く設定されます
- 登録免許税——所有権保存登記・移転登記の税率が軽減されます
- 不動産取得税——課税標準からの控除額が、一般住宅より大きくなります
- 固定資産税——新築住宅の減額期間が延長されます(一戸建てで3年間→5年間)
控除額や税率は年度ごとの税制改正で変わります。契約前のタイミングで、最新の内容を確認してください。
ローンと保険での優遇
- 【フラット35】Sの金利引下げの対象になったり、返済期間を最長50年にできる【フラット50】が使えたりします
- 耐震等級に応じた地震保険料の割引が受けられます
補助金や、将来の売却で有利になることも
住宅の省エネ関連の補助事業で、認定住宅が対象になったり、補助額が加算されたりすることがあります。また、認定を受けた記録と点検の履歴が残るため、将来売却するときに建物の状態を説明しやすいという利点もあります。
知っておきたい注意点
メリットだけでなく、手間とコストの面も見ておきましょう。
- 申請は着工前——設計が固まってからでは間に合いません。長期優良住宅を考えているなら、早い段階で住宅会社に伝えてください
- 費用がかかる——申請手数料に加えて、設計や書類作成の費用が発生します。金額は行政庁や会社によって異なります
- 認定後も義務が続く——維持保全計画にもとづき、少なくとも10年以内ごとに点検を行い、その記録を保存する必要があります(計画期間は30年以上)
- 記録を残していないと——所管行政庁の求めに応じられない場合、認定が取り消されることがあります
つまり長期優良住宅は「認定をとって終わり」ではなく、住み続けるあいだ手入れを記録していく制度です。そこまで含めて納得したうえで選びたい制度といえます。
まとめ——長く住むための「共通のものさし」
長期優良住宅は、劣化対策・耐震性・省エネ性・維持管理のしやすさなど、家を長持ちさせるための条件を国が定めた認定制度です。認定を受ければ税金やローンで優遇があり、点検の履歴が家の履歴書として残ります。
一方で、着工前の申請が必要で、費用がかかり、住み始めたあとも点検と記録が続きます。制度を使うかどうかは、その手間を含めて判断するものです。
ただ、たとえ認定を取らない場合でも、この基準を知っておく価値はあります。「この家は劣化対策等級でいうとどのくらいですか」「配管の点検はしやすいつくりですか」——そんな問いかけができるようになると、住宅を見る目は確実に変わります。長期優良住宅の基準は、長く住む家を選ぶための共通のものさしなのです。