住宅ローンを組むとき、借入額と金利にはよく目が向きます。けれどもうひとつ、毎月の返済額と総支払額を大きく左右する要素があります。返済期間です。

35年が当たり前のように語られますが、いまは40年、50年という商品もあります。期間を延ばせば毎月は楽になる。その代わりに何が起きるのか、順に見ていきます。

期間を延ばすと、毎月は軽くなり、総額は増える

3,000万円を金利1.5%(全期間固定・元利均等返済)で借りた場合の目安です。

返済期間毎月の返済額総返済額利息の合計
25年約119,981円約3,599万円約599万円
30年約103,536円約3,727万円約727万円
35年約91,855円約3,858万円約858万円
40年約83,152円約3,991万円約991万円

35年から40年に延ばすと、毎月の負担は約8,700円軽くなります。一方で総返済額は約133万円増えます。5年ぶんの利息が上乗せされるからです。逆に35年を30年に縮めると、毎月は約11,700円重くなりますが、総額は約131万円減ります。

毎月をとるか、総額をとるか。返済期間の選択は、突き詰めればこのバランスです。

まず「完済時に何歳か」から逆算する

期間を考えるときの出発点は、年齢です。多くの金融機関が完済時年齢の上限を80歳未満に設定しています。ただし制度上は組めても、実際に返し続けられるかは別の話です。

35歳で35年ローンを組めば、完済は70歳。40年なら75歳です。定年後の何年間かは、年金や退職金から返し続けることになります。

ここで大切なのは、その年齢まで働き続ける前提を、無条件に置かないことです。60歳以降は収入が下がることが多く、健康の事情もあります。「定年までに完済」を目標にするなら、そこから逆算して期間を決めることになります。

それでも、長めに借りるという選択肢はある

とはいえ、はじめから短く組むことだけが正解ではありません。期間を短くすると毎月の返済額が上がり、家計の余裕がなくなります。教育費が重なる時期に返済がきついと、貯蓄を取り崩すことになりかねません。

もうひとつ、団体信用生命保険(団信)の存在もあります。返済期間中に万一のことがあれば、残債は団信で完済されます。手元の現金を返済に回しきってしまうより、いくらか残しておくほうが安全なケースもあります。

長めに借りて、繰り上げ返済で調整する

実務的によく使われるのが、期間は長めに組んでおき、余裕が出たときに繰り上げ返済で縮めるという考え方です。毎月の返済額は低く抑えつつ、収入に余裕のある時期だけ多めに返す。家計の変化に合わせて調整できるのが利点です。

繰り上げ返済には2つのタイプがあります。

ただし、手元の現金をすべて繰り上げ返済に回すのは避けましょう。生活費の半年分程度と、教育費や修繕費といった予定のある支出は残しておく。返済を急ぐより、こちらのほうが優先です。

なお、変動金利で借りている場合は、金利が上がったときに毎月の返済額も上がりえます。期間を長く取っているほど金利上昇にさらされる期間も長くなる——この点も頭の片隅に置いておきたいところです。

返済期間は、借りたあとから短くすることはできても、長くするのは簡単ではありません。迷ったときは長めに組んでおき、繰り上げ返済で調整する。この順番のほうが、家計の選択肢は広く保てます。
夕方のあかりが灯った、落ち着いたリビングの風景

まとめ——期間は「返せる長さ」で決める

返済期間を延ばせば毎月は軽くなり、総返済額は増える。縮めればその逆になる。仕組みはこれだけですが、判断の軸になるのは金額ではなく「いつまで返し続けられるか」です。

完済時の年齢から逆算して現実的な長さを見定め、そのうえで毎月の負担が重すぎない期間を選ぶ。足りない分は繰り上げ返済であとから調整できます。借入額と金利だけでなく、期間もあわせて相談してみてください。