省エネ住宅のZEH(ゼッチ)を調べていると、「Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)」という区分を見かけることがあります。これは国(経済産業省・国土交通省)が定めるZEHタイプのひとつで、くらしのBASEでは「Nearly GX」と呼んでご紹介しています。

この記事でお話しする「Nearly GX」は、国のZEH区分の『Nearly ZEH』に当たります。名前のとおり「ほぼZEH」という意味で、気候条件が厳しい地域でも無理なく高い省エネ性能を目指すための、現実的な選択肢です。家づくりを検討中の30代共働きご夫婦にも分かるよう、やさしく解説します。

Nearly GXを一言でいうと「ほぼZEHの家」

Nearly GXを一言で表すと、基本形のZEHとほぼ同等の高性能を持ちながら、太陽光発電だけでエネルギー収支ゼロには少し届かない——そんな「ほぼZEH」の住まいです。

たとえば北海道のような寒冷地や、雪が多くて屋根のパネルが雪で覆われやすい地域、もともと日射量が少ない地域では、どれだけ頑張っても太陽光だけで使うエネルギーすべてを賄うのが難しいことがあります。そうした立地でも、現実的に高い省エネを実現できるよう用意されているのがNearly GXです。

Nearly GXが満たす要件

Nearly GX(公式区分の『Nearly ZEH』)の要件は、基本形の『ZEH』とよく似ています。違いは一点だけなので、比べながら見ていきましょう。

断熱と省エネは『ZEH』と同じ

まず、強化外皮基準を満たす高い断熱性能が求められます。これは基本形のZEHと同じ水準です。断熱性能を表すUA値の基準は地域区分により異なりますが、寒冷地ではとくに高い断熱が必要になります。

次に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いて、一次エネルギー消費量を20%以上削減すること。これも基本形のZEHと同じです。つまり「使う量を減らす」部分については、Nearly GXもZEHとまったく同じ高さを目指しています。

違いは「再エネ込みの削減率」

唯一の違いが、再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー削減率です。基本形のZEHが「100%以上」を求めるのに対し、Nearly GXは「75%以上100%未満」とされています。

言いかえれば、断熱と省エネはしっかり達成したうえで、創エネで使う量の75%以上はカバーできているけれど、収支ゼロ(100%)にはあと一歩届かない——その状態を正式に位置づけたのがNearly GXなのです。決して性能を妥協したわけではなく、気候という動かせない条件に現実的に向き合った区分だと理解してください。

ZEHの区分・要件は国の制度に基づくもので、UA値や削減率の基準は地域区分により異なります。最新の要件や補助金の適用可否は、公式情報や住宅会社の担当者にご確認ください。

どんな地域・暮らしに向いているか

Nearly GXは、次のような立地で力を発揮します。

こうした地域では、太陽光だけで収支ゼロを目指すよりも、まず断熱と省エネを徹底するほうが、暮らしの快適さにも家計にも確かな効果があります。その先には、さらに高い水準の「GX志向型住宅」も見据えられますが、まずは無理のない「ほぼZEH」から高性能住宅の階段を上っていく——そんな考え方を体現したのがNearly GXです。

雪の降る寒い日でも暖かく過ごせる高断熱住宅の室内

まとめ——気候に合わせた、現実的な高性能

Nearly GX(公式区分の『Nearly ZEH』)は、断熱と省エネは基本形のZEHと同じ高さを保ちつつ、再エネを含めた削減率が「75%以上100%未満」にとどまる地域向けのタイプです。寒冷地や多雪地域、日射量の少ない地域でも、無理なく高い省エネ性能を実現できる現実的な選択肢として位置づけられています。

削減率や断熱の基準は地域区分によって変わりますが、「気候が厳しくても、できるところまでしっかり高性能を目指す」という前向きな考え方が、この区分の本質です。お住まいの地域の条件と照らし合わせながら、家づくりの参考にしてみてください。