省エネ住宅のZEH(ゼッチ)には、太陽光発電の設置を必須としないタイプも用意されています。それが国(経済産業省・国土交通省)の定める「ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)」で、くらしのBASEでは「Oriented GX」と呼んでご紹介しています。
この記事でお話しする「Oriented GX」は、国のZEH区分の『ZEH Oriented』に当たります。屋根に十分な太陽光を載せにくい立地でも、高い断熱と省エネで「省エネ住宅の入口」に立てるよう設けられた区分です。家づくりを検討中の30代共働きご夫婦にも分かるよう、やさしく解説していきます。
Oriented GXを一言でいうと「創エネを必須にしない省エネ住宅」
Oriented GXを一言で表すと、太陽光発電などの「創エネ」を必須にせず、高断熱と省エネだけで省エネ住宅の入口に立つ、という考え方の住まいです。
都市部の狭小地では、北側斜線制限などのルールによって屋根の形や向きが制約され、太陽光パネルを十分に載せられないことがあります。また、多雪地域では冬の間パネルが雪に覆われて、思うように発電できないこともあります。そうした立地でも、「まず断熱と省エネをしっかり整える」ことを優先できるよう用意されたのがOriented GXです。
Oriented GXが満たす要件
Oriented GX(公式区分の『ZEH Oriented』)の要件は、とてもシンプルです。基本形のZEHから「創エネの条件」を外したもの、と考えると分かりやすいでしょう。
1. 強化外皮基準を満たす高断熱
まず、壁・屋根・窓などの断熱性能(強化外皮基準)を満たすことが求められます。これは基本形のZEHと同じ高さの断熱性能です。断熱性能を表すUA値の基準は地域区分により異なりますが、しっかりと熱を逃がさない家であることが前提になります。
2. 再エネを除いて20%以上の省エネ
次に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いたうえで、一次エネルギー消費量を20%以上削減することです。冷暖房・給湯・照明などに使うエネルギーを、高効率な設備でしっかり抑える——この部分も基本形のZEHと同じ水準が求められます。
3. 創エネ(太陽光など)の要件は問われない
そして最大の特徴が、再生可能エネルギーによる創エネの要件が問われないことです。基本形のZEHが「再エネを含めて100%以上削減」を求めるのに対し、Oriented GXではこの創エネの条件がありません。だからこそ、太陽光を載せにくい立地でも、高断熱と省エネだけで成立する区分になっています。
どんな立地に向いているか
Oriented GXは、次のような立地で選ばれることの多いタイプです。
- 北側斜線制限などで、屋根に十分な太陽光を載せにくい都市部の狭小地
- 積雪でパネルが雪に覆われ、機能しにくくなる多雪地域
- まずは断熱と省エネを優先し、創エネはあとから検討したいケース
創エネを必須としないとはいえ、断熱と省エネの水準は決して低くありません。Oriented GXをしっかり満たした家は、その先にある基本形のZEHや、さらに高い水準の「GX志向型住宅」へと階段を上っていくための、確かな土台になります。なお、太陽光を標準で備える住まいであれば、Oriented GXの条件を満たしたうえで創エネも加わるため、この区分はあくまで「創エネを前提にできない立地のための選択肢」として理解しておくとよいでしょう。
まとめ——まず断熱と省エネから、省エネ住宅の入口へ
Oriented GX(公式区分の『ZEH Oriented』)は、強化外皮基準を満たす高断熱と、再エネを除いて20%以上の省エネを実現しつつ、創エネ(太陽光など)の要件は問われないタイプです。屋根に太陽光を載せにくい都市部の狭小地や多雪地域でも、無理なく省エネ住宅の入口に立てるよう設けられています。
断熱や省エネの基準は地域区分によって変わりますが、「創エネを必須にせず、まず断熱と省エネをしっかり」という考え方が、この区分の本質です。立地の条件から太陽光をあきらめかけている方にとっても、高性能な住まいを目指す道はちゃんと用意されている——そのことを知っておくと、家づくりの選択肢がぐっと広がります。