「家賃がもったいないから家を建てよう」——そんな話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。でも、住宅ローンの月々の返済額と今の家賃を並べただけでは、正確な比較とは言えません。

住まいにかかるお金は、家賃やローン返済だけではありません。光熱費、修繕費、保険料、そして将来手元に残る「資産」の有無——。すべてを合わせた「住居費トータル」で考えてはじめて、どちらが自分たちに合っているかが見えてきます。

「月々の支払い」だけでは見えないもの

賃貸と持ち家を比べるとき、よくあるのが「家賃8万円 vs 住宅ローン月々7万円」のような単純比較です。しかし、住まいに関わる支出は毎月の家賃やローン返済だけではありません。

賃貸の場合、月々の支出を整理するとこうなります。

合計すると、月々の「住居関連費用」は約12〜15万円になることも珍しくありません。

一方、住宅ローンで家を建てた場合はどうでしょうか。

こちらの合計は、月々約10〜13万円ほど。住宅の断熱性能や太陽光の有無によって、光熱費の差が大きくなるのがポイントです。

光熱費の差が35年で数百万円になる

築20年以上の賃貸アパートと、最新の高性能住宅では、光熱費に大きな開きがあります。

項目賃貸(築古)高性能住宅
月々の光熱費約2.5万円約1.0万円
年間光熱費約30万円約12万円
35年間の合計約1,050万円約420万円

その差は35年間で約630万円。これは住宅ローンの支払い差額に匹敵するほどのインパクトです。

特に、GX志向型住宅のように断熱等級6以上・太陽光パネル標準搭載の住宅であれば、太陽光の売電収入も加わります。日中の発電分を自家消費すれば電気代はさらに抑えられ、余った電力は売電して収入になります。年間で5〜8万円ほどの売電収入が見込めるケースもあり、これを35年分で考えると175〜280万円のプラスになります。

光熱費の目安は、断熱性能(UA値)と住宅の気密性能(C値)によって大きく変わります。断熱等級6以上(UA値0.46以下)、C値1.0以下の住宅であれば、冷暖房効率が格段に上がり、エアコン1〜2台で家全体を快適に保てるようになります。

35年後に「資産」が残るかどうか

もう一つ見落としがちなのが、35年後の状況です。

賃貸の場合、どれだけ家賃を払い続けても、35年後に手元に残るものはありません。引っ越しが必要になったり、高齢になって賃貸契約が難しくなるリスクもあります。

一方、住宅ローンを払い終えた持ち家は、そのまま住み続けることができます。月々の住居費はメンテナンス費用と固定資産税のみとなり、老後の住居費負担は大幅に軽くなります。さらに、土地には資産価値が残るため、いざというときに売却したり、子どもに引き継いだりすることもできます。

トータルコストで見ると逆転が起きる

単純に月々の支払いだけを比べると「賃貸のほうが気楽」に見えることもあります。しかし、光熱費・更新料・駐車場代・35年後の資産有無まで含めて計算すると、高性能住宅のほうがトータルで安くなるケースは多いのです。

項目賃貸(35年間)高性能住宅(35年間)
家賃 / ローン返済約3,360万円約2,940万円
光熱費約1,050万円約420万円
共益費・更新料約290万円
駐車場代約315万円
固定資産税約385万円
修繕・保険約560万円
太陽光売電収入▲約210万円
35年間合計約5,015万円約4,095万円
35年後に残るものなし土地+建物(資産)
上記は一般的な条件での試算例です。賃貸は家賃8万円+光熱費2.5万円+共益費5千円+駐車場7.5千円、住宅ローンは借入3,000万円・金利0.7%・35年返済で試算。実際の金額はお住まいの地域や条件によって異なります。

まとめ——「月々いくら」ではなく「35年でいくら」で考える

家賃と住宅ローンを比べるときは、月々の金額だけでなく、光熱費・駐車場代・更新料・太陽光の売電収入・35年後の資産価値まで含めた「住居費トータル」で判断することが大切です。

特に、高い断熱性能と太陽光パネルを備えたGX志向型住宅であれば、光熱費の削減効果が大きく、トータルで見ると賃貸よりも住居費が抑えられるケースが少なくありません。

「毎月の支払いが不安」と感じている方こそ、一度トータルコストで計算してみてください。月々の数字だけでは見えなかった、もう一つの選択肢が見えてくるかもしれません。