「家賃がもったいないから家を建てよう」——そんな話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。でも、住宅ローンの月々の返済額と今の家賃を並べただけでは、正確な比較とは言えません。
住まいにかかるお金は、家賃やローン返済だけではありません。光熱費、修繕費、保険料、そして将来手元に残る「資産」の有無——。すべてを合わせた「住居費トータル」で考えてはじめて、どちらが自分たちに合っているかが見えてきます。
「月々の支払い」だけでは見えないもの
賃貸と持ち家を比べるとき、よくあるのが「家賃8万円 vs 住宅ローン月々7万円」のような単純比較です。しかし、住まいに関わる支出は毎月の家賃やローン返済だけではありません。
賃貸の場合、月々の支出を整理するとこうなります。
- 家賃:8〜10万円(3LDKの場合、地方都市の相場)
- 光熱費:月2〜3万円(築年数が経ったアパートでは断熱性能が低く、冷暖房費がかさみがち)
- 共益費・管理費:月3,000〜5,000円
- 駐車場代:月5,000〜1万円
- 更新料:2年ごとに家賃1ヶ月分(月割りで約4,000円)
合計すると、月々の「住居関連費用」は約12〜15万円になることも珍しくありません。
一方、住宅ローンで家を建てた場合はどうでしょうか。
- 住宅ローン返済:月6〜9万円(借入額や金利によって変動)
- 光熱費:月0.8〜1.5万円(高断熱・太陽光パネル搭載住宅の場合)
- 固定資産税:月換算で約0.8〜1.2万円
- 火災保険・地震保険:月換算で約3,000〜5,000円
- 修繕積立:月約1万円(将来の外壁塗装や設備交換に備える目安)
こちらの合計は、月々約10〜13万円ほど。住宅の断熱性能や太陽光の有無によって、光熱費の差が大きくなるのがポイントです。
光熱費の差が35年で数百万円になる
築20年以上の賃貸アパートと、最新の高性能住宅では、光熱費に大きな開きがあります。
| 項目 | 賃貸(築古) | 高性能住宅 |
|---|---|---|
| 月々の光熱費 | 約2.5万円 | 約1.0万円 |
| 年間光熱費 | 約30万円 | 約12万円 |
| 35年間の合計 | 約1,050万円 | 約420万円 |
その差は35年間で約630万円。これは住宅ローンの支払い差額に匹敵するほどのインパクトです。
特に、GX志向型住宅のように断熱等級6以上・太陽光パネル標準搭載の住宅であれば、太陽光の売電収入も加わります。日中の発電分を自家消費すれば電気代はさらに抑えられ、余った電力は売電して収入になります。年間で5〜8万円ほどの売電収入が見込めるケースもあり、これを35年分で考えると175〜280万円のプラスになります。
35年後に「資産」が残るかどうか
もう一つ見落としがちなのが、35年後の状況です。
賃貸の場合、どれだけ家賃を払い続けても、35年後に手元に残るものはありません。引っ越しが必要になったり、高齢になって賃貸契約が難しくなるリスクもあります。
一方、住宅ローンを払い終えた持ち家は、そのまま住み続けることができます。月々の住居費はメンテナンス費用と固定資産税のみとなり、老後の住居費負担は大幅に軽くなります。さらに、土地には資産価値が残るため、いざというときに売却したり、子どもに引き継いだりすることもできます。
トータルコストで見ると逆転が起きる
単純に月々の支払いだけを比べると「賃貸のほうが気楽」に見えることもあります。しかし、光熱費・更新料・駐車場代・35年後の資産有無まで含めて計算すると、高性能住宅のほうがトータルで安くなるケースは多いのです。
| 項目 | 賃貸(35年間) | 高性能住宅(35年間) |
|---|---|---|
| 家賃 / ローン返済 | 約3,360万円 | 約2,940万円 |
| 光熱費 | 約1,050万円 | 約420万円 |
| 共益費・更新料 | 約290万円 | — |
| 駐車場代 | 約315万円 | — |
| 固定資産税 | — | 約385万円 |
| 修繕・保険 | — | 約560万円 |
| 太陽光売電収入 | — | ▲約210万円 |
| 35年間合計 | 約5,015万円 | 約4,095万円 |
| 35年後に残るもの | なし | 土地+建物(資産) |
まとめ——「月々いくら」ではなく「35年でいくら」で考える
家賃と住宅ローンを比べるときは、月々の金額だけでなく、光熱費・駐車場代・更新料・太陽光の売電収入・35年後の資産価値まで含めた「住居費トータル」で判断することが大切です。
特に、高い断熱性能と太陽光パネルを備えたGX志向型住宅であれば、光熱費の削減効果が大きく、トータルで見ると賃貸よりも住居費が抑えられるケースが少なくありません。
「毎月の支払いが不安」と感じている方こそ、一度トータルコストで計算してみてください。月々の数字だけでは見えなかった、もう一つの選択肢が見えてくるかもしれません。