日本は世界でも有数の地震大国です。家づくりを考えるとき、「耐震性能」は誰もが気にするポイントではないでしょうか。しかし近年、耐震だけでなく「制震」という考え方が注目されています。大きな地震のあとに繰り返し襲ってくる余震。その揺れから家と家族を守るために、制震ダンパーという装置が住宅に取り入れられるようになりました。
今回は、住友ゴム工業が開発した住宅用制震ダンパー「ダイナコンティ」について、その仕組みや特徴をわかりやすくご紹介します。
耐震だけでは不安が残る?繰り返しの揺れへの備え
「耐震等級3」と聞くと、それだけで十分に安心できるように感じるかもしれません。耐震等級3は、消防署や警察署など防災拠点と同等の耐震性能を示すもので、住宅としては最高ランクです。
ただし、耐震構造はあくまで「建物を強くして壊れにくくする」というアプローチです。1回の大きな地震には耐えられても、繰り返しの揺れが加わると、接合部や構造材に少しずつダメージが蓄積されていく可能性があります。実際に、2016年の熊本地震では本震の前に大きな前震があり、2度の震度7に見舞われた建物の中には、1回目は耐えたものの2回目で大きな被害を受けたケースが報告されています。
そこで注目されるのが「制震」という考え方です。制震とは、建物に伝わる地震エネルギーを吸収し、揺れそのものを抑える仕組みのこと。耐震で建物を強くしたうえで、制震で揺れを軽減する。この二重の備えが、これからの家づくりでは大切になってきています。
ダイナコンティの仕組みと5つの特徴
ダイナコンティは、タイヤメーカーとしても知られる住友ゴム工業が開発した住宅用の制震ダンパーです。ゴムの研究で培った高い技術力を活かし、住宅の揺れを効果的に吸収する装置として設計されています。
その仕組みはシンプルです。壁の中に設置されたダンパーに使われている「特殊高減衰ゴム」が、地震の揺れによる振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収します。これにより、建物に伝わる揺れが小さくなり、構造体へのダメージも軽減されます。
ダイナコンティの主な特徴を5つご紹介します。
- 繰り返しの地震に強い:高減衰ゴムは何度揺れを受けても性能が低下しにくく、本震だけでなく余震にもしっかり対応します。
- 温度に左右されない安定性:一般的なゴム製品は気温によって硬さが変わりますが、ダイナコンティの高減衰ゴムは温度依存性が低く、夏でも冬でも安定した制震性能を発揮します。
- メンテナンスフリー:一度設置すれば交換の必要がなく、長期間にわたって性能を維持します。壁の中に収まるため、暮らしの邪魔にもなりません。
- 震度7相当の実証試験:大型の振動台による実験で、震度7相当の揺れに対しても効果が確認されています。
- コンパクトな設計:木造住宅の壁内に無理なく収まるサイズで、間取りの自由度を損なうことなく設置できます。
「耐震+制震」で実現するダブルストロング工法
THE BASEのGX志向型住宅では、「ダブルストロング工法」として、許容応力度計算による耐震等級3の取得と、ダイナコンティの標準搭載を組み合わせています。
許容応力度計算とは、建物にかかる力を柱や梁の一本一本まで詳細に検証する構造計算の方法です。簡易的な計算ではなく、より正確に建物の強さを確認できるため、信頼性の高い耐震等級3を実現できます。
そこに制震ダンパーを加えることで、「壊れにくい強さ」と「揺れを吸収するしなやかさ」の両方を備えた住まいになります。耐震と制震、それぞれの長所を活かした二重の守り。これが「ダブルストロング」という考え方です。
地震への備えは、目に見えない部分だからこそ、建てるときにしっかり考えておきたいポイントです。耐震等級の数字だけでなく、繰り返しの揺れにどう対応するかまで視野に入れると、より安心できる家づくりにつながるのではないでしょうか。
まとめ
制震ダンパー「ダイナコンティ」は、住友ゴム工業の高減衰ゴム技術を活かした住宅用の制震装置です。繰り返しの地震に強く、温度変化にも左右されず、メンテナンスも不要。耐震等級3の構造に制震ダンパーをプラスすることで、1回の大きな揺れだけでなく、その後の余震にも備えることができます。
家を建てるなら、「耐震」と「制震」の両面から地震対策を考えてみてください。目に見えない部分こそ、長く安心して暮らせる家の土台になります。