家づくりの打ち合わせで、「収納はたくさんほしい」というリクエストはとても多いものです。賃貸住まいで収納不足に悩んだ経験があると、なおさらそう感じますよね。でも、実は収納は「多ければ多いほどいい」というわけではありません。

大切なのは、量よりも「どこに、どんな収納があるか」。この記事では、使いやすい収納の考え方を整理してみます。

使う場所の近くに収納を置く

収納設計の基本は、「使う場所の近くにしまう場所をつくる」ことです。当たり前のようですが、これが意外と見落とされがちです。

たとえば、コートや上着は玄関の近くに掛ける場所があれば、リビングの椅子に放置されることが減ります。掃除機はリビングや廊下からサッと取り出せる場所にあれば、掃除のハードルが下がります。薬や文房具はリビングの一角に小さな収納があると、探し回ることがなくなります。

「何をどこで使うか」を間取りの段階で具体的にイメージしておくと、必要な収納の場所と量が自然と見えてきます。

ファミクロ・パントリー・シューズクロークの使い分け

最近の住宅でよく見かける収納スペースについて、それぞれの役割を整理してみましょう。

どれも便利な収納ですが、すべてを大きくつくると居室のスペースが圧迫されます。自分たちの暮らし方に合わせて、優先度をつけることが大切です。

収納を増やしすぎるとどうなるか

限られた床面積の中で収納を増やすということは、そのぶん居室が狭くなるということです。これは避けられないトレードオフです。

たとえば、30坪の家で収納率(床面積に占める収納面積の割合)を15%にすると、収納に約4.5坪を使うことになります。それ自体は悪いことではありませんが、リビングを広くしたい、書斎がほしいといった他の希望とのバランスを考える必要があります。

収納が多すぎると、「スペースがあるから」と物を溜め込んでしまうという声もあります。収納はあくまで暮らしを快適にするための手段。多さを目的にしないことが大切です。

適材適所の収納設計とは

使いやすい収納を考えるときに意識したいのは、次の3つのポイントです。

  1. 動線上に配置する — 日常の動き(帰宅→着替え→手洗い、など)の流れに沿って収納を置く
  2. 使用頻度で分ける — 毎日使うものは取り出しやすい場所に、季節ものは奥でもOK
  3. しまうものの形を考える — ハンガーで掛けたい衣類には奥行き60cmのクローゼット、本や書類には奥行き30cm程度の棚、というようにサイズを合わせる

間取りの打ち合わせでは、「収納を何畳ほしい」と面積で考えるよりも、「ここにこれをしまいたい」と具体的に伝えるほうが、設計者も適切な提案をしやすくなります。

収納は、暮らしの「裏方」です。目立たないけれど、暮らしの快適さを大きく左右する存在。だからこそ、量ではなく質にこだわって計画してみてください。