家づくりの打ち合わせで「耐震等級3です」と言われると、それ以上は聞きにくいものです。最高等級なのだから、それで十分だろう、と。
ただ、同じ耐震等級3でも、どうやってその強さを確かめたかには何段階かの違いがあります。その違いを説明する言葉が「許容応力度計算」です。専門用語ですが、意味そのものは難しくありません。
木造住宅の強さを確かめる、3つの方法
2階建てまでの木造住宅では、耐震性の確かめ方に主に3つのやり方があります。
1. 仕様規定(壁量計算)
建築基準法が定める最低限のルールです。床面積に応じて必要な「耐力壁」の量を求め、それが足りているか、バランスよく配置されているかを確認します。計算はシンプルで、多くの木造住宅がこの方法で確認されてきました。
2. 性能表示計算
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)にもとづく方法で、住宅性能表示制度の耐震等級を取るときに使われます。壁の量に加えて、床の強さ(床倍率)や接合部の検討が加わり、仕様規定より踏み込んだ確認になります。
3. 許容応力度計算
いわゆる「構造計算」です。柱1本、梁1本にどれだけの力がかかるかを計算し、その材料が耐えられる範囲——許容応力度——に収まっているかを1か所ずつ確かめます。基礎や地盤にかかる力も検討の対象です。
3つのなかでもっとも手間がかかり、もっとも詳細です。ビルやマンションで行われている構造計算を木造住宅に対して行うイメージだと考えると、わかりやすいでしょう。
2025年4月、木造2階建ての扱いが変わった
2025年4月に施行された建築基準法の改正で、木造住宅を取り巻く前提が変わりました。
それまでは、木造2階建てなどの小規模な住宅について、建築確認の際に構造関係の図書の審査を省略できる仕組み(いわゆる4号特例)がありました。改正によりこの省略の範囲が縮小され、木造2階建ては原則として構造関係規定の審査を受けることになっています。
あわせて、必要な壁量の基準も見直されました。背景にあるのは住宅の省エネ化です。断熱材が厚くなり、太陽光パネルを載せる住宅が増えたことで建物そのものが重くなった——重い建物は地震のときに大きな力を受けるため、従来の基準では足りないケースが出てきたのです。
つまり、高性能な家をつくるほど、構造をきちんと計算する必要性は増しています。断熱と耐震は別々の話に見えて、実はつながっています。
「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は違う
もうひとつ、確認しておきたい言葉があります。「相当」がつくかどうかです。
- 耐震等級3——第三者の評価機関による審査を受け、住宅性能評価書などで等級が証明されているもの
- 耐震等級3相当——住宅会社が自社の基準で「等級3に相当する強さがある」としているもの。第三者による証明はありません
実際の性能に差がないこともありますが、認定を受けていないと地震保険の割引(耐震等級3なら50%)や、長期優良住宅の認定が受けられないという実務上の違いが出ます。
打ち合わせでは、「耐震等級はいくつですか」に加えて、「どの計算方法で確かめていますか」「評価書は発行されますか」まで聞いてみてください。答えにくい質問ではありませんし、返ってくる答えで会社の姿勢もよくわかります。
まとめ——数字の後ろにある「方法」を聞く
耐震等級3という数字は、家選びの大事な目安です。ただ、その数字がどうやって確かめられたのかまで見ると、家の中身がもう一段はっきりします。
仕様規定、性能表示計算、許容応力度計算。もっとも詳細なのは許容応力度計算です。2025年4月の法改正で木造2階建ての審査の扱いも変わり、構造をきちんと計算することの重みは増しています。「等級3です」で終わらせず、その先をひとつ聞いてみる。それだけで、比べられることがずいぶん増えます。