住宅会社をまわりはじめると、早い段階で「うちは在来工法です」「当社はツーバイフォーで建てています」という言葉に出会います。けれど、それが暮らしのどこに効いてくるのかまでは説明されないまま、話が間取りや設備へ進むことも少なくありません。

この2つは、木造住宅の骨組みをどうつくるかの違いです。柱と梁という「線」で組み立てるか、床・壁・屋根という「面」で箱のように囲うか。力の受け方が違うので、窓の取り方や間取りの考え方、住み始めたあとに手を入れられる範囲にも差が出てきます。

どちらが優れているという話ではありません。成り立ちと得意なことを知っておくと、住宅会社の説明を自分ごととして聞けます。

柱と梁で組む——在来軸組工法

在来軸組工法は、木造軸組構法とも呼ばれ、日本で長く使われてきたつくり方です。基礎の上に土台を置き、そこに柱を立て、梁や桁を水平に渡して骨組みをつくります。屋根や床の重さは、柱を通って土台へ、基礎へと下りていきます。

ただし、柱と梁を四角く組んだだけでは横からの力に弱くなります。四角形は、押されると平行四辺形の方向へゆがむからです。そこで斜めに筋かいを入れたり、構造用合板などの面材を張ったりして、ゆがみに抵抗する壁をつくります。これを耐力壁と呼びます。木造住宅の強さは、この耐力壁がどれだけあり、どこに配置されているかで大きく変わります。

現場で刻む時代から、工場で加工する時代へ

かつては大工が現場で木材に継手・仕口(木材どうしを組み合わせるための加工)を刻んでいましたが、いまはプレカットと呼ばれる工場加工が広く使われています。機械で加工するぶん、寸法の精度がそろいます。工場でつくって現場で組み立てる流れは、壁や床をパネルごと工場で仕上げるつくり方にも広がっています。

面で支える——枠組壁工法(ツーバイフォー)

ツーバイフォーは、正式には枠組壁工法といいます。北米で発達したつくり方で、日本では1974年(昭和49年)に技術基準が定められ、広く建てられるようになりました。

名前の由来は、骨組みに使う木材の寸法です。断面が2インチ×4インチの規格材(乾燥・仕上げ後の実寸はおよそ38mm×89mm)を主に使うことから、こう呼ばれます。より厚い2×6(およそ38mm×140mm)を使う仕様もあります。

この枠組材で四角い枠を組み、構造用合板を釘で打ちつけてパネルにします。床・壁・屋根をこのパネルで構成し、箱のように組み上げていく——これが枠組壁工法の考え方です。柱や梁という線ではなく面全体で力を受け止めるため、地震や風の力が一か所に集中しにくくなります。

一方で、壁そのものが構造体になるぶん、決まりごとも多くなります。壁で囲む区画の広さ、力を受け持つ壁どうしの間隔、ひとつの壁にどれだけ開口(窓やドア)を取れるかに基準があり、設計はその範囲で組み立てます。釘の種類や打つ間隔まで定められているのも特徴です。

間取りの自由度と、あとから変えやすいかどうか

力の受け方が違うと、間取りの考え方にも差が出ます。おおまかな傾向は次のとおりです。

見るところ在来軸組工法枠組壁工法(ツーバイフォー)
力を受ける主役柱・梁と耐力壁床・壁・屋根の面
壁のつくり柱・梁の間に筋かいや面材を入れる枠組材と面材でパネルをつくる
大きな開口比較的取りやすい区画や開口の基準の範囲で計画する
間取りの形変形敷地や斜めの壁にも対応しやすい直角を基本とした構成になりやすい
あとからの変更耐力壁以外なら手を入れやすい壁の撤去や開口の新設に制約が出やすい

ただし、この境目は昔ほどはっきりしていません。在来軸組工法でも、筋かいの代わりに構造用合板を張る面材耐力壁が広く使われるようになり、線と面を組み合わせて支える家が増えています。反対に、ツーバイフォーでも梁を併用して広い開口を取る設計は行われています。

「あとから変えられるか」は、図面を見ないと分からない

住み始めてから子ども部屋をふたつに仕切る、壁を抜いてLDKを広げる——そうした変更で効いてくるのが、どの壁を動かせるかです。

ツーバイフォーは壁が構造体なので、抜ける壁は限られます。とはいえ、在来軸組工法なら自由というわけでもありません。耐力壁や筋かいの入った壁は、工法にかかわらず簡単には抜けません。抜くのであれば、構造をもう一度検討し、別の場所で強さを補う手立てが必要になります。

大切なのは工法の名前ではなく、その家のどこが構造の要になっているかです。将来の変更を考えているなら、引き渡しのときに構造まわりの図面(柱・梁・耐力壁がどこにあるかを示した図面。伏図と呼ばれます)を受け取り、保管しておいてください。先々リフォームを相談するときに、話の進み方が変わります。

耐力壁の位置は間取りと切り離せません。打ち合わせの早い段階で「この壁は動かせますか」と聞いておくと、あとから図面を描き直す手間が減ります。
木の天井と白い壁が続く、完成した住まいの静かなリビング

まとめ——工法は土台。性能はその上に載る話

在来軸組工法は柱と梁で組んで耐力壁でゆがみを止め、枠組壁工法は面で箱をつくって全体で力を受ける。出発点の違いは、突き詰めればここだけです。

気をつけたいのは、この違いと住宅性能の話を混ぜてしまうことです。耐震等級は住宅性能表示制度の等級で、どちらの工法でも評価を受けられます。同じ等級でも、壁量計算・性能表示計算・許容応力度計算のどれで確かめたかによって、確認の細かさは変わります。断熱等級やUA値も、使う断熱材や窓の仕様で決まるものです。気密は現場の施工の丁寧さが表れやすく、完成した家で測ってみないと分かりません。

つまり工法は土台であって、性能はその上に載る別の層の話です。「どちらの工法ですか」と聞いたうえで、「耐震等級はいくつで、どの方法で確かめていますか」「UA値とC値はどうですか」と重ねていく。軸を分けて聞けば、各社の説明を並べて比べられます。同じ工法でも、設計と施工の中身で家は変わります。